
遺言は、ご自身の死後に財産をどのように分けたいか、誰に何を遺したいかを法的に明確にする重要な意思表示です。遺言がない場合、相続人全員での遺産分割協議が必要となり、意見の相違から争いが生じる可能性もあります。遺言があれば、ご自身の意思が尊重され、残された家族の負担を軽減し、円満な相続を実現できます。また、「付言事項」として、ご自身の思いや感謝の気持ちを残された方々に伝えることもできます。
遺言を残すことはすべての方に絶対に絶対に必要、というわけではありませんが、少なくとも下記いずれかに該当する方は遺言を残すことを検討するようにおすすめいたします。
①子供のいないご夫婦で、配偶者などの特定の相続人に財産を渡したい方
②再婚していて、前の妻や夫との間に子がいる方
③内縁の配偶者、相続人の配偶者など法定相続人でない方に財産を渡したい方
④相続人の中に連絡が取れない方がいる方
⑤相続人同士の折り合いが悪く、相続をめぐって紛争となる可能性がある方
⑥相続人になる子や兄弟姉妹の数が多い、代襲相続が生じるなど、相続人が多数で複雑になる方
⑦特別代理人の選定が必要な必要な未成年の子が相続人の中にいる方
⑧不動産はあるが、預貯金額は少ないなど、財産の種類に偏りがあり、分割の難しい財産がある方
⑨会社経営者や個人事業主の方で、特定の相続人に事業承継させたい方
遺言には主に3つの種類があります。
・自筆証書遺言: ご自身で全文、日付、氏名をすべて手書きし、押印するものです。手軽に作成できますが、形式不備や内容の不明瞭さから無効になるリスクがあります。
・公正証書遺言: 公証役場で公証人が作成するもので、原本が公証役場に保管されるため、偽造や紛失の心配が少なく、最も安全で確実な方法です。
・秘密証書遺言: 遺言の内容を秘密にしたまま、存在を公証人に証明してもらうものです。
どの形式で作成するにしても、法的な要件を満たし、ご自身の意思を正確に反映させるためには、専門知識が必要です。行政書士は、遺言内容の相談から、適切な遺言の種類のアドバイス、文案作成、公正証書遺言の証人手配まで、遺言作成の全プロセスをサポートします。これにより、有効かつ争いのない遺言を作成することができ、行政書士の援助を受けることは非常に有利と言えるでしょう。